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6月の祭典は「ミドサマー」、つまり「夏至祭」です。
5月の祭り「メーデー」に引き続くような祭りですが、6月は主に大地を称えています。
その為、祭りの色も新緑の「緑」から豊穣の意味が込められた「金色」へと変化していくのです。

1年の中で最も昼が長い日、夏至。この祭りは1年の中でいちばん 長く顔を出す太陽にも感謝の意を表している訳です。
現在は夏至の日のみになりましたが、中世ではこの日の他に、夏至祭の守護聖人である聖ジョン(別名ヨハネ;イエス・キリストに洗礼を施した洗礼者。後にユダヤの王妃・ヘロデアにより斬首された。その時の様子を描いた「サロメの舞」は有名)の誕生日である6月24日も同時にお祝いしていました。
人々は豊穣と緑、太陽に乾杯の酒を酌み交わしていた事でしょう。

1.ミドサマーの謎詩

ミドサマーをお祝いする人々は始める前、終わる前に「ミドサマーの謎詩」なるものを歌っていました。

緑は金色なり 炎は濡られたし
未来は告げられ 龍にぞ出会わん

一見、意味がよく分からない詩ですが、この詩が夏至祭のメインワードとなる訳です。
例えば、第一節にある「緑は金色なり」。5月は新緑の季節ですが、6月は大地が目覚める季節になります。大地は緑を豊かある黄金色へと変えていきます。10月頃によく見られる畑を連想すれば大体お分かりになるでしょう。黄金色一色に染まった麦畑・・・正に「緑から金色」に変わるのです。
第二節の「炎は濡られたし」というのは、ミドサマーに行われる「炎占い」の意味を指しています。人々は実に様々な占いで未来を予言していました。炎占いもその1つです。この占いは、紙でできた舟の上に丸いろうそくを乗せ、火をつけたまま対岸まで運ぶ、というものです。もし対岸に無事に着けば内に秘めていた願いが叶う、と言われています。
またこの行事は次の年も、これからも幸せであるように、との人々の願いも込められています。

2.ミドサマーの料理

儀典官が饗宴を告げる命令を下すと、いよいよ饗宴のスタートとなります。ここでは通常のメニューが登場いする他に、この祭典でしかお目にかかれないものがあります。それが「デスティニーケーキ」と「カッコー足のエール」です。
一見、小さなドーナツの様に見えますが、この形が一種の“占い”と化しているのです。
様々な形をしているケーキを、客人は大皿の下(または飾り布で覆われた大皿の横)から手にとります。その形が自分の未来を予言していると思われたのです。(デスティニーケーキ・カッコー足のエールについての詳細は食堂にいるチーフコックまで)

3.占いの種類

ミザサマーは実に多くの占いの祭典でもあります。
愛、未来、金運・・・とその種類は様々ですが、主によく行われていた占いをご紹介しましょう。

麻の実占い(愛)
後ろにある水張ったボールに麻の実を投げ入れて、まかれた実の形から愛する人を予知する。バレンタインでも使われている占い。

シャロンのバラ(愛)
予め摘み取っておいたシャロンのバラ(バラの一種。黄色の花びらに黒い斑点がついている)を枕元に置く。
饗宴終了時にしおれていなければその恋が持続する)

濡れた火(未来)
第1節(ミドサマーの謎詩)を参照。

卵占い(未来)
ボールの中に生卵を入れ、その形から未来を占う。

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