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騎士の理念は服装にも現れる〜マントの着用〜


 
いまやファンタジーの騎士などには欠かせないマント。ひらりとして、ゆったりな雰囲気をかもしだす重要な衣装のひとつです。
鎧に羽織るとさらによく映えますね。

さてこのマント、現代は普通に呼ばれていますが、英語圏内の方に「マント」というと「?」と返されます。
もともとこの言葉はフランス語で「manteau」と書き ます。英語だと「cloak」または「cape」などが一般的でしょうか。

マントは寒さから身を守るだけでなく、各々の階級などもわかるようになっていたようです。素材も毛皮でできたりといろいろありました。 中世前期の絵をご覧頂くと分かりますが、食事をしているときもマントははずさず、そのままの状態でした。ただでさえ手づかみがメインの時代ですから、キレ イに扱っていたとはなかなかいえないようです。

いかにマントで身分を表しているとはいえ、騎士道ではきちんとした礼儀作法があります。例えば、目上の人とお話をしたり、食事をする時は帽子を外しますよね(それを知らない方も今はいらっしゃるようですが…)。それと同じで、上の階級にいる要人に対しては、マントを外す習慣があったようです(主に食事会の時など)。
また、マントを外すことによって申しこまれた闘いに挑むという意味をもつのだそうです。決闘の申しこみといえば、手袋を相手に投げることでも同様に成立しますね。

中世後期になると次第にマントをつける習慣が薄れていきますが、いずれの時代 であれ、風になびく美しい素材でできた羽織物は景色に映えます。 悠久の時を刻むような服飾といってもいいかもしれませんね。


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