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〜手にはめる感情の象徴/手袋のもつ意味〜


今年は記録的な大雪に見舞われている日本列島。あまり雪が降らない関東地方で も大雪が連日続くなど、まさに「冬」の状態です。 風邪をひかないように防寒具もしっかりと用意しておく必要があります。が、コ ートやマフラーは着用するのですが、「手袋」は雪が降ったところをのぞいては あまり見かけません。たいていの人はポケットに手を突っ込んで歩いてますよね。

手袋はたしかに防寒具の一つでもありますが、中世の世界では実に様々な意味合 いをひめていました。今回はこのお話です。当時の世界比較的寒い気候であったので、防寒具の発達は著しいものでした。

手袋も例外ではなく、布製・皮製の手袋が農民から領主まで広く使われていました。 もっともよく使われているのが布製で、貴婦人や領主が好み、いろいろなデザイ ンの手袋を集める領主も中にはいました。ある地域では課税対象物の一つとして 手袋を寄進していたところもあります。 皮製の手袋はタカやワシを止まらせるために丈夫なものをつくっていました。こ れは江戸時代の城主がタカ狩りをするときも同じものを作っていましたし、現在 でもタカやワシを扱うのに必要です。

騎士においては、手袋を相手に向かって投げ捨てることにより「決闘」を申し込 むことができました。言葉ではなくて、態度で判断するんですね。 祭典の中でも手袋が登場します。9月に開催される「聖ミカエル祭」(9月22日)の 時に使われる「3つのG」の一つが手袋です。これは「Glove(手袋」、「Guuse (ガチョウ)、「Ginger」(しょうが)の頭文字をとったもので、神にもっとも 近い天使・聖ミカエルの象徴であり、重要なものとして位置づけられています。 たかが手袋、されど手袋。勢いあまって投げ捨てると、「その決闘、受けてたつ!」 と相手から言われるかも?


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