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〜中世の植物の言い伝え(12)チューリップ編〜


チューリップは、皆さんもご存じの通り「春」を代表する花で、オランダが原産 とされています。
小学生の時に球根からチューリップを育てた経験はありますか? その球根も、騎士にまつわる物語を残しています。
今回はオランダの昔話をとりあげみましょう。

ある日、一人の美しい女性がいました。そこへ、3人の騎士が通りかかりました が、3人ともその女性に一目惚れしてしまいました。
彼等は毎日のように彼女へ 「貢ぎ物」をし、求婚を迫りますが、当の女性は困惑するばかり。1人ならまだしも、3人もいると選びようが
ないからです。
彼女は、もし1人を選んでしまうと残った2人に申し訳がない気持ちでいたのです(ここまででも分かるように、女性はとっても清楚な
心の持ち主だったようで す)。

悩みに悩んだ末、女性は花の神にどうしたらいいのか相談しました。
花の神は相談の結果、彼女を美しい「花」に変えてしまいました。 嘆き悲しんだ3人の騎士は、生涯その花を大切に育てていったそうです。
わだかまりも消え、お互いに仲良く暮らしていきました。

この物語、どちらかというとハッピーエンドな感じになったのでよかったのかな? と思います。
現在でも、多くの人に、大切に育てられていますからね。

補足ですが、ギリシャ神話でも同様の物語が綴られています。「騎士」が「神」 になっただけで、あとはほとんど変わりはありません。
チューリップの花言葉は「博愛」。まさにすべての人を平等に愛そうとした女性 の気持ちの現れです。
また先述にも登場した「貢ぎ物」ですが、3人の騎士はそれぞれ王冠・剣・金塊 を彼女に贈っていました。
今では王冠=花、剣=葉、金塊=球根という言葉が残っています。
現代では科学も進み、四季を問わずみることができるようになったチューリップ ですが、やはり春の暖かな季節に見るのが一番ですね。


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