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〜中世の植物の言い伝え(11)忘れな草編〜


ワスレナソウ(忘れな草)という花をご存じでしょうか?小さな青色をした華麗な花で、ヨーロッパが原産です。
この花の由来は、ドイツに残されている騎士と娘の悲しい物語からきています。

ある日、恋人同士だった騎士と女性が川の側を散歩していたところ、とても美し い花をみつけました。ただ、その花は
川辺の崖にあり、容易にとることは困難で した。 彼はなんとしてでもその花を彼女に贈ろうと、身を乗り出してその花を
摘みまし た。が、その瞬間、滑り落ちてしまい、川の中へと落ちてしまいました。

前日は大雨ということもあり、普段は落ち着いた川もこの日ばかりは一転して濁 流の牙が彼を遅いました。 女性は必至に
彼を追いかけ、腕をとろうとしましたが、急勾配の崖がその行く手 を阻みます。 騎士は、最後の力を振り絞り、摘み取った
花を彼女に投げ入れ、遠い彼方へと消 え入ってしまいました。

花言葉「私を忘れないで」は、まさにこの物語の主人公である騎士の思いそのも のであったのでしょう。
悲壮な物語から、この花は私たちが済む現代でもしっか りとその思いを綴り続けています。


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