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〜旅は危険が常につきもの〜


各地をさすらう旅人、と言われると結構かっこいい印象を持ちますが、実際の 「旅」は、ある意味で非常に危険なものでした。 まず一人旅は極力さけ、団体行動で旅をしていました。
一人でトコトコと歩いていると、森の中などから盗賊がニヤニヤとながら彼に目をつけます。複数で突然 襲いかかり、金目のものをさんざん取ったあげく口封じをしてさっさと立ち去る。 こんな光景は珍しいものではありませんでした。強固な騎士でも襲われるとはしばしば。

中世文学の代表作「カンタベリー物語」の中で、巡礼者は全員一緒の行動をとっ ています。これは旅をするにあたっての鉄則だったのです。 旅をする目的の大半は巡礼です。他国で有名な教会・修道院などを巡る旅ですね。
繁忙期にもなるとその都市にはよそから来る巡礼者でいっぱいになります。 旅人は野宿はほとんどしません。先述にもありましたように、盗賊に襲われる危険が高かったのです。

都市の近くにはたいてい「旅篭」、旅館のような施設があ りました。1階は酒場と受付、2階以降は寝室というケースが多かったようです。 また、寝室は部屋別ではなく、1つの部屋に複数のベッドがありそこでごろ寝していました。旅篭がいっぱいの場合は城壁の側でテントを張って、そこで休んで いた旅人もいます。
ただ、当時はしゃれにならないぐらい寒かったので、非常に 寒かったことに変わりはありません。 中世人の「自由」とは、旅をする=大地に縛られず時間を放浪することなのかも、 しれません。


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