12世紀頃と17世紀頃にそれぞれ残された絵画をみてみると、ちょっと不思議なに気づきます。お気づきですか? そう、比べてみると分かりますが、前者の方はお皿がありません。全員器用そう
に、手で食べています。実はこれが本当の饗宴スタイルなのです。 当時のお皿は個人に渡すものではなく、主に厨房などで一時的に使われるもので した。お皿の代わり、というより、皿の前形でもあったのがトレンチャーという、 パンの皿でした。パンを水平に切り分けると、ちょうど皿ぐらいの大きさになります。この上にお肉や野菜などを乗せて指で食べていたのです。サンドイッチっ ぽい感じもしますね。 この「指で食べる」という表現、当時の大きなマナーでもありました。フォークやスプーンが世に浸透し始めたのはブルジョワジー時代になってからのこと。ナイフなども、普通は自分で持参するか2〜3人で1本を使用する、といった形です。 指を使うといっても各指にきちんと「ルール」が用意されています。例えば、親指と中指は肉を食べる時に、人差し指と薬指は野菜などを食べる時に、小指は塩や胡椒などをおかずにつける時に使う… といった感じです。この指の使い方が うまいほど上品な存在でもありました。 また、食事をしている時は頭や鼻をかいてはいけない、立ち上がってはいけない、 くしゃみをしてはいけない… と、色々な規則があったようです。食事をしてい ると当然汚れてくるので、定期的に指を洗うボールも用意されていました。 今日よく聞く、「フィンガーボール」はここが起源とされています。 指を上手に使って食事するのは至難の業。皆さんはうまく使いこなせますか? |