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不吉の象徴・緒をひく光〜彗星のお話〜


 
「彗星」と聞きますと、パッと思いつくのが「ハレー彗星」。一昔前の人々は 「尾の部分に非常な有毒ガスがあるので、空気がすえなくなる」と本気で信じて、 一家に必ずゴムチューブ、という事実もあった、あの彗星です。
今では約76年周期で地球に接近し、不思議な天体ショーを私たちに見せてくれます。
彗星はハレーだけでなく、実にいろいろな彗星がありますので、時間がありましたら調べてみてください。

さて、その彗星ですが、そもそもその正体はなんなのかというと、核部分(頭のところ)とガス成分(いわゆる尾といわれているところ)でできている、太陽系 の小天体です。 この彗星は古代から人々に見つけられていました。ずっとさかのぼると、BC240頃 に、かの秦の始皇帝がみたらしい記録が残されているようです。

中世ヨーロッパの時代にも見た、という記録が少なからず残っています。たとえば、1066年、ノルマンディー公ウイリアムがイングランドを征服したことを綴る 「バイユーのタペストリー」というものが残っていますが、そこに彗星らしきも のが登場しています。
また、1301年、イタリアのジョット(またはジオットなど)という画家も、自分が手がけた作品に彗星らしき絵を書いています。有名なスクロヴェンニ礼拝堂の壁画がそれです。

このように、中世の時代にも多くの人によって彗星の存在が認識されていました。 しかし、当時は天文学もそんなに発達していないのに加え、どうもこの彗星が現 れる前後周辺の年は飢饉・大災害などにみまわれたようで、「不吉なもの」とし て恐れられていたそうです。

中世の時代で一番多かった彗星出現が1300・1400年代(ハレー以外の彗星も含む)。 黒死病(ペスト)が大流行したのが1347年頃から、1400年半ば以降はヨーロッパ全体が寒くなった小氷期(Little Ice Age)に突入しています。 偶然が重なっただけかもしれませんが、人々が怖がっていたのもムリはなかった のかもしれません。

ちなみに、次回のハレー彗星到達は2061年予定。その頃社会はどうなっているんでしょうか?
こちらの方も、目を向けなければなりませんね。

参考: The Battle Of Hastings 1066(バイユーのタペストリーが閲覧できます)
http://www.battle1066.com/ mystudios.com

(スクロヴェンニ礼拝堂の壁画が閲覧できます。「giotto」と書かれているアイコンからアクセス、壁画no.17に彗星が描かれています) http://www.mystudios.com/


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