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〜都市の安全は見回りから/都市の警備機能〜


都市機能が活発化してきた中世中期の街は、大都市になるにつれて商店などが増え、非常ににぎわっていました。食料などを扱う店、食堂、日用品販売…さまざ まな店が集まり、一つの生活基盤として都市を支えていました。 中でも外国の貿易が盛んな海岸沿いの都市に関しては、輸入物や金銀など、比較高価なものを取り扱っている傾向が多かったようです。

いつの世にもあることですが、こういったものには弱いもので、武器をもった盗賊達がいつでも狙っていたのです。 そんな彼等から店と街の機能を守るために、城壁のある都市ではいわゆる「自警 団」が結成され、24時間街中を監視するようになりました。現在で言う警察のようなものですね。 彼等は常に街に異常がないかをチェックします。万が一火事や敵兵士・盗賊の襲 来などがきたとき、街に設置してある鐘楼(しょうろう)で住民達に伝達し、状 況を知らせていました。

ある程度までは安心できますが、すべてを防ぎきれるわけでもありませんでした。 街中に入った盗賊たちに、「駆け込み寺」なる場所が存在していたからです。そ れが「墓地」でした。墓地は人々の安息の地であると同時に「聖地」でもありました。そんなところに武器をもってどかどかと入っていくわけにはいきません。墓地まで追いかけると 宗教上の「不敬行為」となり、すぐ側にいても捕まえることができなかったので す。盗賊たちにとっては、唯一安心できる場所でもありました。捕まえる立場と しては、ちょっとせつない感じかもしれないですね。

街の機能は、街を守る者たちによって中世末期まで続いていったのです。


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