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〜ヌルヌル魚は古代からの賜物/うなぎのお話〜


7月といえば土用。土用といえばうなぎ、ですね。案外「土用」という意味をご存知ないことが多いのですが、これは五行説においた、各季節の終わり18日間をさします。
よく、「季節の変わり目は体調をくずしやすい」といいますが、まさ にその時期に値します。当然体の調子も不安定になりやすいので、栄養たっぷりのウナギを食べるのがよい、とされています(真実はどうなのかはいまだわからずですが)。 ウナギは日本独自の食べ物!…ではないことをご存知でしたか?

実は太古の昔 ・古代ギリシャ時代からウナギは人々の前に現われていたのです。 哲学者・アリストテレスはこのウナギをみたとき、今までにない魚の生態に、とても困惑したそうです。一般の魚の形じゃない・持つとヌルヌルしている・ついでに蛇みたい…と。つい最近まで、ウナギ誕生に関する研究も牛歩状態だったと いいますから、彼が考えるのも無理はないでしょう。

中世においては、貴族や王族の宴会の食卓用としてウナギ料理を出していた、と いう記録が残っています。当時のレシピをみてみると、ゼリーで固めたりソテーにしていたりと、その種類はさまざまです。が、ひとついえるのはスパイスならぬ「ハーブ」をふんだんに使っているので、かなり甘い味をかもしだしていた、ということです(多分、日本の方のお口にはあいにくいかも…)。
ウナギに関する事件で、その人生を台無しにしてしまったのがイングランド王位 を掲げていたスティーブンの息子・ユースタスでした。 1156年、自称イングランド王を名乗っていた征服王・ウイリアムの孫であるスティ ーブンとヘンリー王の戦いが激しくなっていました。スティーブンには後継者であるユースタスという息子がいましたが、彼がまたかなりの気性の激しい持ち主 で、ヘンリー王が優勢にでると父スティーブンは和睦案を提出、とたんに息子は 反旗を翻し、和睦を提案した大司教の住む町をことごとく制圧しました。
思い知ったか、といわんばかりに戦勝気分になったユースタスはその日にウナギ 料理を食したものの、翌日にはその料理が原因で急死しました。結局、スティーブンはヘンリー王を正式なイングランド王に指名し、いったんは 安泰となったわけです。
このユースタス、相当な「美食家」だったようで、ウナギに関してはかなりの興味を持っていたようです。 現在はウナギを食べたら死んでしまう、ということはありませんが、栄養たっぷりとはいえ食べ過ぎはほどほどに、というところでしょうか。

ちなみに、夜のお菓子で有名な「うなぎパイ」(浜松:春華堂)ですが、「夜の お菓子」というのは「夕食が終わって、家族だんらんなひとときに手元において ほしい」という願いが込められているそうです。ご存知でした?(^^)。


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