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〜急ぎの場合は肉屋に依頼?/中世の郵便制度〜


現在、ヨーロッパの郵便局にいくと、ラッパ(またホルン)のマークをみかけることが数多くあると思います。普段なにげなくみているようですが、このラッパ のマークの起源は中世にあったといっても過言ではありませんでした。

当時はきちんとした郵便制度というのはありませんでしたが、ギルド(商業組合) の中で、都市から都市に文書を届けたり、重要なものを運んだりする「飛脚制度」 ができあがりました。
飛脚というと、日本の江戸時代などにあった、あの飛脚を思い出しますが、まさにそのまんまです(笑)。 到着の際、飛脚たちは手にもっているラッパを吹き鳴らして合図を送ったとされ ます。これが、今日の郵便のシンボルとしてひきつがれているのです。
おもな種類としては、定期的な経路をわたって運ぶもので、おもに騎士や修道士、学生などが運び手となっていました。 もうひとつは緊急事態の際使われた飛脚です。国の戦争や決議など、重要な文書を届けるという大切な役割をもっていたわけです。

中でも、ギルド制度から誕生した「肉屋飛脚(郵便)」は、とりわけ確実にはやく届けられるというメリットから、上流階級などから大きな信頼を得ていました。 肉屋、というぐらいですから、もともとなまものを運ぶ仕事をしています。保冷剤など充実した機能はもっていませんので、鮮度のいいものをいかにはやく目的地に届けるかが勝負となります。そのためには、機能のすぐれた馬車や馬・人などをつかっていました。

かなりはやい時期から発達した郵便制度ですが、当然のことながら強盗もかれら をつけねらっていました。危険を伴う仕事ではありましたが、このような制度の発達によって、ルネサンス期以降の交流がより盛んになっていったわけです。

余談ではありますが、スイスの「ユングフラウヨッホ」(Jungfaujoch)というと ころにある郵便局から手紙をだすと「ヨーロッパ一高い郵便局」という記念スタ ンプを押してくれます。ちなみに標高3454m。お近くまでお立ち寄りの際は、ぜ ひ投函してみては? うことです。


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