lib_tit.gif

〜真の言葉で綴る手紙/手紙と封印〜


Eメールが日本中を飛び交う時代になっていますが、直筆の手紙にはまだまだ勝てません。親からの、愛する人からの、友達からの手紙。それは、人々の心に深 く刻み込むことのできる存在でもあります。

中世の時代、手紙はただ単に恋人への思いを綴ったものだけではなく、公的な証 書としてしたためられていました。とかく、土地に関する証明書・証書として扱われることが多く、その大半には蝋(ろう)で作られた「封印」がされてありました。今でいう、シールのようなものですね。

「封印」はSealing-Stampと通常言われており、これがあるかないかで大きな意味を持っていました。 たとえば、イギリス・サフォーク州アンプトンからの証書には、ほぼ完全な形の封印が残されており、土地賃貸料と忠義義務についての指示について克明に記載されています。当然ながら、関係者以外はみることができない、内部文書です。

一方、封印がされていないものとしては14世紀末に書かれた収穫の勘定書で、関 わった労働者の名前とかかった費用の報告書となっています。 現在の手紙でも、保険証書や銀行の大切な証書などが送られてくる時、裏にきちんとした「はんこ」が押されることがあります。中世の封印の面影を残している事例ともいえるものでしょう。


戻る