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〜ちょっと仰天?な治療方法/中世の病気の治療〜


ローマ・ギリシャ時代から飛躍的に研究されてきた医学は、中世ヨーロッパの時 代にも色濃く残りました。
大学でも医学を志す者が日々勉強に打ちこんでいたものです。その具体的な治療方法ですが、現代医学と比べるとなかなかもって複雑 な方法?があったようです。 ある女性患者の容態をみることになったとします。

彼女は10代後半の若い女性で、 体のあちこちに青いあざや黒いしみができています。どうやら一種の伝染病のよ うです。 現代の医学だといろいろな検査をしたあと適応する薬を投与しますが、当時はそ んな設備は当然ありませんでしたので、過去に残っている医学書をひっぱりだして、あるいはその知識を活用して治療にのぞんでいました。
このケースの場合、当時万能薬として利用されていた「糖蜜」(theriac)と呼ばれる、60以上の成分が含まれている薬を煎じて飲ませたという記録が残っています。この薬は内臓や子宮内をきれいにし、手足のむくみなどもすべて解消させて くれるという効用をもっていたようです。

上記のようなまともな方法もあれば、魔術をベースにした治療方法もあります。
天然痘にかかっている患者には赤い布をくるませる、というもの。これは治療? と首をかしげてしまいがちですが、立派な「治療」なのです。 魔術では、布をかけることによってその患者の中にある病気を取り除いてくれる という効果があったようですが、同時に死を意味するものでもあったので後期になって、そのような治療を行う者に対してなんらかの制裁を加えることになりました。

また、黒死病(ペスト)が大流行した後、伝染病を拡大させないために専用の土地へ追放することもありました。伝染病を持っている者は音がなるガラガラを身につけ、自分が病にかかっていることを周りに証明する必要がありました。その音を聞いた住民達は一斉に部屋の中に隠れ、次はわが身かもしれないことを恐れていたのです。これは貴族平民関係なく、病にかかった時点でそのような処置がとられていたそうです。

ある時は薬を処方し、ある時は魔術のノウハウを活かす医師達。彼等が闘ってき た病の治療は、のちに現代にうつり、大きな改革を遂げていきました。


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