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〜暑い夏にはキーンと一杯/中世のお酒のお話〜


夏といえば、海・プール・夏休み…と、いろいろと連想できますが、お酒好きの方にはなんといっても「ビール」という言葉がでてくるでしょう。この時期、国 内のいたるところにビアガーデンが設置され、暑い日差しで体力を消耗した人々がジョッキを片手に疲れを吹き飛ばすなんて光景が見られます。飲み過ぎにはく れぐれも注意していただきたいものですが。

さて、全体的に寒い時期が多かった中世にもワインやビールをはじめとした各種 のお酒の醸造が始まっていました。ウイスキー発祥の地・アイルランドでは錬金 術の過程で得られた醸造技術を元に「生命の水」と呼ばれた「アクア・ビテ」と いう種類(ウイスキーの原型)がつくられました。これは当時薬の酒として大変 珍重されました。スコッチやウォッカはここから派生した形となります。 庶民階級でもよく飲まれていたワイン・ビール・エール(ビールと同種類のお酒。 発酵温度が低いのがエール、高いのがビールとなる。エールの方がホップなどの苦味が残りやすい)などは時代を経ていくと共にその醸造技術と品質が向上して いきました。
中世中期から後期にかけて発達したギルド(商業組合制度)でも、 これら酒類に対して詳細な制約事などを掲げています。 品質などが向上した要因として、修道院の存在も忘れてはなりません。ここにいる修道士達がワインやビールを作ることが多くあったのです。もっとも、製造場所がココなのでこっそり飲んでしまう修道士もいたという記録も残っていますが。

庶民の人々は、昼食にワインを飲むことがしばしばありました。今から考えると 「昼間から飲むの?」と不思議に思われがちですが、当時の人はこれが当然のこ とだったのです。パンに冷たいスープにワインを1杯。これだけで午後の仕事に も精がでたのでしょう。 ちなみに大学生達はよく酒場に出入りして酒を呑んでは労働階級の人々にくってかかることが多々あったそうです。下手をしたら殺し合いにまでなってしまう始末。小さないさかいとはいえ、どの時代でも「飲み過ぎには注意するように」と いうことなのでしょうね。


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