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〜清き明かりは命の灯火/ろうそくのお話〜


今、さまざまな形のキャンドル(ろうそく)が静かなブームを呼んでいます。デパートなどでも、キャンドルコーナーはとりわけ大きくつくっているところが多 いです。 キャンドルが灯す小さな火はヒーリング効果もあるので、疲れを癒すグッズとし ても人気が高いです。
ろうそくを実用面で使うことはほとんどありませんが、電気が通っていない時代 はやはり明かりが必要でした。燭台にろうそくを…というのはいたって高い位の人々にしか使われなかったものです(現代でも、それがあるだけでリッチな感じになるものですが)。

当の中世の時代はどうだったかというと、白く漂白した「蜜ろうそく」を使うの は教会や裕福な家庭だけが使用していました。普通の人々は、獣脂を使ったろうそくや獣脂に浸したイグサを用いていたといいます。

日本の戦国時代などにある、 貝状の器にたらんと伸びている明かりらしいもの…を想像していただけるとよいでしょう。 イグサの明かりは1本の芯でやく30分ほど燃やすことができます。消えそうに なったら芯をとりかえればいいだけなのですが、この芯をつくるのにかなり時間 がかかる・また獣の脂なのでけっこうなにおいがするというデメリットもあるので、あまり長時間には適していませんでした。
もっとも、夜が更けたら寝てしまうという中世の人々の習性がありますから、実際ろうそくや獣脂はあまり使用していなかったようです。たいていの仕事は日中 ですべて片付けてしまうので、よほどのことがない限り使う機会がないといっても過言ではありません。

太陽と共に起きあがり、太陽と共に床につく。自然のサイクルが人間にも通じて いると思うと、ちょっと納得いくような感じがしますね。


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