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〜貴族の楽しみ/狩猟のノウハウ〜


日本の戦国時代などにもよくみられた狩猟の楽しみ方は、東洋・西洋問わずにさまざまなやり方があったようです。日本では「鷹狩り」などがポピュラーですが、 西洋にもちゃんとありました。

さて、狩猟権の対象となった動物ですが、主なものですとシカ・イノシシ(冬季 のみ)・クマ・野ウサギ・キツネ・ネコ・オオカミなどがあります。特に上流階級の人々は一年中狩りを楽しみ、自分で捕えたものに満足していました。 ただ、簡単に「狩り」とはいっても当時の森林は何があるかわからない危険地帯でもあります。そんなところに貴族達がひょうひょうと行くわけがないので、必ず狩りの専門家が1人付き添った上で楽しんでいました。

ここではシカの狩りを例にとって、どのようなやり方が行われたのかを簡単にご紹介します。
まず、狩猟家は明け方に森林に入り、シカがいる地帯や落ちている糞の状態、足 跡などをみて狩りができるのかどうかを調査します。この時狩猟家は犬(ブラックハウンド・またはグレーハウンド系の犬が多かったです)を一緒に連れていますが、獲物の匂いをかぎわけ、この辺りにいるのかどうかを判断するためです。
その後領主達に報告して、今回の狩りをやるかやらないかを決めてもらいます。 狩り決行ということになると、早速調査した森林に足を運び、狩猟犬のエスコー トに従いながら徐々に追い詰めていきます。 獲物が確実にいると判断したとき、もう一種の狩猟犬を放してその位置を領主に知らせます。領主は弓矢をもって獲物をしとめ、大きな戦利品を館に持ちかえっ たのです。
わなをしかけるやり方もありますが、この場合狩猟家が槍などで仕留 めていました。 仕留めた獲物は皮をはがし、肉を細かく切って饗宴の食卓にのることになるのです。

狩猟権はその土地の領主・または貴族や豪商など一部の身分にしかない権利で、 土地を借りて農業を営んでいる小作農達に対しては厳しい法律をしいて狩りを極力させないようにしました(一種の独占権ですね)。もし規律を破って狩りをし た場合、多くの領主や貴族達は重い罰金か、はたまた拷問にかけていたほどのも のでした。
しかし小作農達も人間ですし、肉のひとつやふたつは食してみたいもの。ウサギ などの小さな小動物は捕っていましたが、さすがに大物の獲物はとらなかったよ うです。

しばらくは上流階級のみに与えられた狩猟権ですが、16世紀後半に起こったフラ ンス革命あたりから農民達が「貴族を狩る」権利を与えられることがありました。 ルイ16世やマリー・アントワネットが処刑された、あの事件といえばおわかりに なるでしょう。


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