lib_tit.gif

〜一年の苦行期間/レント[断食]〜


「断食」というと、イスラム教などがよく行っているといわれますが、キリスト教にもちゃんと断食の期間はありました。現在は飽食化しているのもあり(?)、 その厳しさは半減していますが、中世当時の人々にとってはそれは大変イベント でした。 もともと四旬節(レント)は新約聖書に登場するイエス・キリストの断食から来います。

悪魔(Evil)が彼を陥れようと、様々な誘惑をけしかけてきます。 40日間悪魔に耐えぬいたイエスは勝ち、巡礼の旅にでることを決意するのです。 レントはイースターの40日前から開始し、イースターの前日まで続きます。人々 はその間、いかなる食べ物を食してはいけないことになっていました。特に愚者 の食べ物であるとされる肉はすべてにおいて食することを禁止、たまごや牛乳も 控えていたのです。 そのうっぷんをレント前から晴らそうと、「四旬節」(カーニバル)という日が レント前に設けられており、その間は腹がはちきれんばかりに肉をとにかく詰めこんでいたそうです。この風習は現在でも引き継がれています。

魚介類(特ににしん)と豆類は食べてもOKだったので、にしんやそら豆と顔を合わせる毎日が続きました。今考えるとものすごくうんざりしそうな感じがしま すが、当時の人々もうんざりしていたようです。特ににしんはかなり嫌われてい るらしく、「にしん」という言葉を含む皮肉な言葉も後になって多く作られました。(現在もヨーロッパでは昔の名残を残しているのか、にしん料理が多々登場 します)

なぜ魚類は良いのかというと、旧約聖書に登場する「アダムとイブの裏切り」物 語から答えが導くことができます。神の約束を破り、口にしてはいけないりんごを食べてしまったとき、地上にあるすべてのものに呪いをかけてしまいましたが、 魚達だけは水中に生息していたので難をのがれ、呪いを受けない神聖なものとし て崇められていました。 この期間は食事を一日一回に する(大斎)・肉類を口にしない(小斎)の2つを守る必要があります。40日間のレントに挑戦してみては?


戻る