愛の祭典
〜聖バレンタインデー(2)〜
第2回目は、祝宴の詳細を解説します。
全祝宴に共通する事から、バレンタインのみに行なわれる行事を御紹介します。
1.祝宴の「儀式」
バレンタインのみならず、祝宴は必ず「儀式」で幕を開けます。現在のように、ラフな感じではなく、非常に厳かに開催していました。
ここでの進行役は、「儀典官」という神官です。彼が全ての祝宴の責任者といっても過言ではありません。儀典官の指示に従って裏方達が動くのです。ある意味では大変な役でしょうが・・・
祝宴の儀式は下記に挙げる通りです。
- 儀典官による乾杯の音頭
- 食塩の儀式
- パンの儀式
- 洗盤の儀式
- 飲物の儀式
- 乾杯及び祝福
1.儀典官による乾杯の音頭
来賓達が席につくと、儀典官が乾杯の歌を歌いながら会場に入場します。
2.食塩の儀式
儀典官は、食塩を来賓達に捧げます。食塩は非常に貴重なものとされていたので、この儀式は絶対に入っていました。
3.パンの儀式
次に儀典官はパン係を呼んでパンを切らせます。この際、パンの上部は、主賓に捧げるものとしてとっておきます。主賓に捧げた後は高位順にパンの上部を渡します。
4.洗盤の儀式
次に儀典官は洗盤係を呼んで来賓一人一人に手を洗って貰います。中世の食事は手が唯一の食事手段なので、丁重に扱っていました。
5.飲物の儀式
次はカップ係と酒類管理係が登場して、来賓の前でお酒の味見と検査をします。毒が入っていないかを検査するのが主でした。日本の中世でいう「毒味役」ですね。
6.長い儀式が一通り終了すると、儀典官が再び乾杯の音頭をとります。今度は来賓一同も立ち上がって、祝宴を称えます。その後に豪華な食事が運ばれてくるのです。
ざっとこのようなのが中世の祝宴の儀式でした。みなさんから見るとかなりすらだちを覚えそうな感じですね。しかし、中世の人々は必ず祝宴はこのような形で行なってきました。神に感謝する、という概念もあります。
2.バレンタインでの特別行事
上記のように、厳かな雰囲気で行なわれる儀式ですが、バレンタインデーのみの特別行事もいくつかありました。
まず、一番重要だったのが、「バレンタイン選び」(恋人選び)です。
食事の後に行なわれるゲームに、このバレンタインが必要となるわけです。といっても、本当の恋人というわけではなく、誰でも好きなように恋人になってもらうのです。ゲーム上での「恋人」ですから、老若男女なんぞ全然気にしなくても良いのです。まぁ、それで本当に恋人同士になったらなお良いものですが・・・
バレンタイン選びはくじで決めます。くじは、来賓の中から儀典官が選んで書いてもらいます。くじを全員が引きおわったら一斉にくじを見て、期間限定のバレンタインを探します。バレンタインが見つかったら、2人でお互いに一緒に座ります。
その他の特別行事として、
- パン皿を黄色く染める(サフランを混ぜ合わせる)
- ローズウォーターを置く
- 卵料理を主にした食事形態にする
などが挙げられます。
食事も終わり、次に来賓達はゲームを楽しみます。愛の日ということで、愛にちなんだゲームが多く催されました。また、恋占いも盛んで、大変重要視されていました。
次回は、恋占いと恋のゲームについて御紹介したいと思っています。