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愛の祭典
〜聖バレンタインデー(1)〜




今日、皆さんの世界では2月14日を「バレンタインデー」と位置づけている方が多いでしょう。普段から思いを寄せていた男性に自分の愛を表現する・・・そんなロマンチックな情景に誰でも一度は憧れるものです。
しかし、ふと考えるとバレンタインデーはいつから存在していたのでしょう? この問題は案外知らない人が多いと思いますが、実は中世ヨーロッパから存在していました。さらに形式も現在とは全く異なっており、一種の「祝典」としてみんなで祝っていたのです。
今回は、そんな「聖バレンタインデー」の歴史と祝典の様子を御紹介しましょう・・・


1.聖バレンタインデーの意味

もともと、聖バレンタインデーというのは、キリスト旧教(カトリック)の聖人・バレンタインを称える日で、ヨーロッパ全土で祝っていました。彼は、紀元後3世紀頃に殉教した聖人で、彼の命日を祝ったものだといわれています。
またこの日は、動物(鳥類)が発情する時期でもあることからこれに見立てて人々も愛を語り合うという伝承が伝わったようです。この日は結婚式を挙げるカップルが多いとされます。この日に式を挙げると、永遠の愛が保証されるというのがその理由です。

2.バレンタインデーに必要なもの達

この日は、人々にとってはお祭りであるわけですから、勿論多くの御馳走も用意しなければなりません。が、この日の為に必要なものもいくつか用意する必要があります。
ラヴ・ランタン(Lave Lantan)
野菜で作ったろうそく立てのことですが、10月にあるジャック・ランタンに非常によく似ています。ジャック・ランタンの方はお化けのような恐い顔をしていますが、これとは対照的に穏やかな、やさしい顔をしています。普通は皮が厚い野菜が使われます。
ラブ・ノット(Lave Knot)
これは、服飾品の一つである金属製のピンです。形が横8の字(∞)になっているので、「無限大」=「永遠の愛」と称され、専ら女性が身に付けていたものでした。
バレンタイン・カップ(Varentain Cup)
来賓を招き、食事の音頭をとる前に必ず行なった事が「愛の精霊を称える儀式」でした。バレンタインカップと呼ばれる大きなカップにぶどう酒を注ぎ、愛の精霊を招き入れていました。これにより、恋人達はさらなる愛を育む子とになります。
ラブ・スリーブス(Lave Slerves)
「愛の袖」という意味で、互いに愛し合っている者の袖を交換していました。中世ヨーロッパの衣服の特徴は、袖を簡単に取り外せることでした。袖はよく汚すことが多いのでしょっちゅうその部分を変えていたということです。 愛する人がつけている袖を交換することによって、その愛を深く、かつ広くしようという試みをしようとしているのです。
卵料理(Menu of Eggs)
御馳走になくてはならないのが卵料理です。卵は愛の象徴とされていたので、その料理を食して愛を深めようとしていたのです。専らオムレツに近い料理が食されていました。
のこぎり草(Yarrow)
主にサラダやローズウォーターの材料として使われています。また、占いにも使われていて、次の日の朝を心待ちにしていた人が多くいました。占いの詳細については後日お話します。
ローズ・ウォーター(Rose Water)
ばらの花を蒸留した水で、中にハーブやのこぎり草など、香りが良いポプリを水面に浮かします。愛の香りとも称されており、会場に来た人々の感情を高める一因となっていました。


必要なものが集まったら、食事の用意をします。 食事のメニューは「愛」を象徴したメニューで、ガチョウや孔雀の丸焼き、プティング、旬の果物、パン、卵料理(オムレツ)、ハート型のミニケーキなどが出されていました。
旬の果物の中でもりんごやいちじくなど、甘い果物がよく出ています。また、パンも特上の白パンが主催者や来賓に食されていました。白パンは貴族階級の人々にしか口にできないもので、一般では麦パンが主流になっていました。

お皿などはなく、代わりにパンでできたお皿を使っていました。また、スプーンなども無かった時代だったので、みんな手で食べていたんですよ。上品にどのように食べるかが貴族のみどころでした。
現在の方々の中で、よく小指を立てて飲む人がいると思いますが、これは中世の食卓にいた人々のなごりと思っていた方が良さそうです。


さて、全ての準備が整いました。次はいよいよ実際に祝宴が始まります。
次回は、一足早い祝宴の様子を御覧いただきましょう。
どうぞ、お楽しみに・・・




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