1.中世の食事の特徴



中世全般にかけて、甘味のある料理が主体となっていました。当然ですが、醤油などの辛いものはなく、当時の塩も大変高価なものとされていたので、現在私達が食しているような料理ではないと想像して下さい。ほとんどの料理が甘い味なのですから、中世の人間は相当な甘味持ちだったのでしょう。
中世終盤に入ってようやく辛い料理が運ばれるようになりました。といっても、メニューの大半はやはり甘味が多かったようです。

全ての料理に欠かせないのが「ハーブ(harb)」でした。
ハーブは当時の世界において絶大な地位を持っていました。料理から医薬品、芳香や儀式など、人々の生活になくてはならないものだったからです。庶民が簡単に入手できるものから高額なものまで様々でした。特に、シルクロード(絹の道)で東洋から運ばれてくるスパイス・ハーブ類はかなりのものだったと言えます。(一般的に多くのハーブを所持している人はかなりの金持ちと認識していました)
ハーブ、と一言に申しましても多くの種類がありますので、ここでは料理に使用される代表的なハーブを御紹介しましょう。

着色用ハーブ(主なもの)

ハーブ名 用途・効用 代用ハーブ
サフラン 主に着色用。少量で黄金色の色を出す 西洋たんぽぽ
ローズ(薔薇) 着色・装飾用。淡い紅色を出す アルカシナ
ミント 着色・芳香など多様に使われる。エメラルド色を出す パセリ・ゼニアオイ
ブルーマロウ 着色・飲料に使用。純青色を出す ヘリオトロープ
すみれ 着色・装飾用。淡い紫色を出す なし

スパイス用ハーブ

ハーブ名 用途・効用
メイス ナツメッグの外皮。くるみのような皮で、医薬品にも使用されている
ジンジャー しょうがの乾燥版。香ばしい味で大抵の料理に使われる
パセリ 装飾にもっぱら使われる。その点では現在と一緒
ペパーミント 芳香性が強い、現在のハーブの代表格。
ギャリンゲール 和名コウキョウリョウ。薔薇のような芳香がするが少々ひりひりする
ヒソップ シソ科の1つで、強い芳香性を持つ
オールスパイス 南アジア方面から入ってきたもの。その名の通り複数のスパイスが入っている
ローズマリー 芳香性が少々あるが、肉の臭みなどを取り除く効果がある
カルダモン 和名ショウズク。ハーブスパイスの中では芳香性が一番高い。
ナツメッグ 現在もお菓子などに使われているハーブ。少量でも効果がある
タイム 臭みなどを取り除く。
シナモン 甘みが特徴のハーブ。スティック状・粉末状など種類は様々
クローブ 黒胡椒のような粒で、臭みを取り除く効果がある

2.調味料について


料理で使用される主な調味料は、前述に述べたハーブと甘味類(砂糖・蜂蜜など)が主流となっていました。塩はとても高価なもので、貴族の饗宴などで大切に扱われていました。その為、容易に塩分をとる事ができませんでした。料理の方では少量使っていたとされます。

砂糖にもいろいろと種類があり、白砂糖からブラウンシュガー・グラニュー糖・黒砂糖など様々でした。砂糖が入手できない時などは蜂蜜を専ら使用していたようです。

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