メーデーの由来  
現在では「労働者の日」として認識されており、日本・アメリカをはじめ世界中で労働者を称える決起集会などを開いています。ただこれを制定したのはごく最近のことで、それまでは「春を歓迎するお祭り」として多くの人々に祝われていたのです。

メーデーの記録は古代ローマ時代にまでさかのぼります。
元々、花と春を司る女神・フローリリア(Florialia)の為に祝われたとされています。
女神は花冠をつけた小さい像で表現され、人々は彼女の為に多くの花を石像や神殿などに飾っていました。
若者はしばしば恋人の為に歌(セレナード)を披露し、春の到来をを分かち合っていたそうです。
ローマ帝国崩壊後も、領土となっていた国々にはメーデーの伝統が残りました。特にイギリスではメーデーを盛大に祝っていたとされます。かの清教徒(ピューリタン)はメーデーを「悪魔の宴」(祝いこと自体が目障りだった)と見て、中止させようとしましたが、国民の圧倒的な反発には勝てず、手だしができなかったとされます。それだけメーデーは人々にとって大切な行事だったのです。

国や地域によって若干の相違がありますが、大体の所では「花」を早朝に摘んで教会や石像などに捧げます。花は春の象徴であり、これからの収穫を願うという意味で非常に重要な役割を担っていました。
祭りのご馳走は全て緑色に仕立てられていました。緑は豊饒と木々の新緑を表していたのです。

ここで各国でのメーデーの祝い方を簡単にご紹介します。
イタリア  
元々、花と春を司る女神・フローリリア(Florialia)の為に祝われた。
女神は花冠をつけた小さい像で表現され、人々は彼女の為に多くの花を石像や神殿などに飾っていた。
若者はしばしば恋人の為に歌(セレナード)を披露していた。
今日でも最も素晴らしい日として知られている。
 
ドイツ  

少年少女達は自分の恋人達(又は好きな人)の部屋の窓の前(または側)に5月の木(May Trees)を植えていく習慣があった。
 
ギリシャ  
子供達は早朝からツバメを探し出す。
ツバメ達(鳥)を見つけると、子供達は歌を歌いながら家々を廻って行く。
 
フランス  
人々は5月は聖母マリアの月と信じていた。その為、「5月の女王」は若い娘の中から選ばれ、行列を導いた。
雌牛が重要な役割を持つようになる。街の中を凱旋する雌牛の首に、花輪や花冠などを投げ入れていく。そうすると幸運が訪れるとされているからだ。
また、メーデーの朝に絞りたての牛乳を飲むと、今年1年も幸運が舞い込むようになるといわれている。
 
スイス  
5月の象徴である松の木(PineWood)を飾る。主に少女の部屋の窓際に飾る傾向があるようだ。  
イギリス  


早朝、人々は花や木を集め始める。 また村にはメイ・ポール(May Poll)が建てられる。
メイ・ポールはカンパの木の幹で作られていて、綺麗な花々で飾られた。 人々はパイプの音に合わせてその周りを踊り歌った。
メーデーの代表的な踊りであるモリスダンス(Morris Dance)はあでやかな服を着たダンサーが中心となった。彼等の衣装には沢山の鈴がつけられていた。 村の最も重大な役割を持つ人物が5月の女王(Queen of the May)である。
今日ではロンドンでその習慣が引き継がれている。子供達が家々を回り、ペニーをもらったお礼に花を渡す。 ペニーが多く集まったら「願いがかなう井戸」に投げ込まれ、お願いをする。そうすると願い通りになるといわれているからだ。 投げ込まれたペニーは後に井戸から引き上げられ、慈善団体などに全額寄付される。
 
photo by "The History of the Maypole (Maibaum)"

メーデーで重要とされているのが、「5月の女王」(Queen of May)と「ジャック・イン・ザ・グリーン」(Jack in the green;別名グリーン・マン[The green Men])の存在です。
全ての祭りは「5月の女王」の指示で動くことになっています。
The Queen of May  
1.花飾り

5月の女王に選ばれた女性は、女王の象徴である花の髪飾りをつけます。
色とりどりの花であしらわれた髪飾りが王冠代わりとなります
2. たすき

左肩からかけるたすきも女王の象徴の印です。
色は特に決められていなかったようですが、その時期に咲いている花の色をイメージしたものが多いようです
3.鈴飾り

これはメイ・ポール(May Pole)が彼女の「持ち物」であることを証明します。
メイポールは脇・または頂上に春を告げる鈴をつけています。その鈴と彼女の鈴は同じものなのです。
また、この時に開催された各種競技(モリス・ゲームなど)で優勝した者に授けるものとしても扱われています
5月の女王の役割は以下の通りです。

メーデーの開催を告げる
指定の場所[信託所や聖堂など]から民衆を誘導する
メイポールの管理をする(当日だけ)
競技で勝利した者に鈴を与える…etc

この日だけは国王も王妃も「5月の女王」の家臣となって動きます。
「5月の女王」はそれだけ栄誉あるという意味なんですね。

その女王の選考ですが、特に委員会などは設けませんでした(現在は必ずといっていいほど存在しますが)。
その年(あるいは前の年)に、何かの形で一番になった・優勝した女性が選ばれるようです。美人・頭がいいという条件もありますが、中には背が小さい・一番太っている、といった人も対象とされていたようです。見かけだけでは判断しなかった、ということですね。

一方の「ジャック・イン・ザ・グリーン」は、メーデーのシンボルマークで、イギリスの修道院や市庁舎の壁などに刻まれています。
中世の頃はネコだったり老人の顔だったりと様々でしたが、ルネサンス前後には老人の顔で統一されるようになりました。髪やひげが葉でできており、少々眼がつり上がった姿をしています。日本でいう「鬼瓦」とに似ていますね。


上に記載されているように、現在でもイギリスなどでは毎年古来より引き継がれたメーデーを祝っています。伝統は以前から変わっておらず、モリスダンスを踊ったりメイポールを建てたりしています。

copyright Maureen McCoy
<メーデー関連リンク集>
Miltion Morris Men May Day Page
モリスダンスのグループが作っているページ。
実際に参加した様子などを写真で紹介しています。
各メーデー関連のリンクも充実。

CWN(Coventry and Warwivkshire Network)

1910年に開催されたメイデイの写真が残されています。
今も昔もほとんど変わらないのがよく分かります。

The History of the Maypole (Maibaum)

メイポールの写真があります。
これを見て、かなり大きいもだなぁ〜と思いました。
メイポールの飾りにも注目。

Hastings Traditional Jack in the Green

南イギリスで毎年開催されているジャック・イン・ザ・グリーンを称えたお祭り。 廃墟の城を舞台に、グリーンマンの使者に扮したキャストの踊りなどを見ることができます。ちょっと画像が重いけどお勧めです。
ちなみに次回は5/4〜7に開催予定だそうです。
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